タケダ大衆薬を買わなかった大正製薬HD、株価が低迷する「消極経営」の正体とは?Photo:Diamond
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

「立ち止まってもいい。僕らはみんな強くない」

 生き馬の目を抜く芸能界の先頭を、持ち前の負けん気で、30年以上にわたって走ってきた初老の元アイドルからCMでこう呼びかけられても、多くの人は面食らうのではなかろうか。「キムタク、どうしちゃったの?『リポビタンD』も大丈夫?」。要は言っていることと、やってきたことの不整合をまず説明してよ、という思いだろう。

 それは奇しくも、発売60周年の節目を今年迎えたこの医薬部外品ドリンクを、長年にわたり会社の代名詞としてきた大正製薬とその持株会社・大正製薬ホールディングス(HD)に向けられたステークホルダーらの「切なる願い」とオーバーラップする。18年秋以降、ほぼ4年にわたって下落し足元では半値以下となってしまった大正HDの株価をはじめ、2期連続の営業赤字を見込む医薬事業の方向付け、「リポビタンD」や「リアップ」に続く圧倒的ブランド製品の不在に対する見解など、問い質したい項目が積み上がっている。