コーヒー,タバコ写真はイメージです Photo:123RF

 喫煙者は、朝起きたときにニコチンの重度の離脱症状に苦しめられると、タバコと一緒にコーヒーを飲みたがることがある。その理由を科学的に証明する研究結果が報告された。同研究では、焙煎したコーヒー豆に含まれる2種類の化合物が、脳内の特定のニコチン受容体に直接影響を及ぼして、ニコチンに対する渇望を緩和する可能性のあることが示された。米フロリダ大学医学部薬理学分野教授のRoger Papke氏らによるこの研究結果は、「Neuropharmacology」9月15日号に発表された。

 Papke氏は今回の研究を実施した背景について、「ニコチン依存症の喫煙者が、朝にはコーヒーと、夜にはアルコールと一緒にタバコを吸うことに興味を抱いた。脳内のニコチン受容体に対するアルコールの影響は研究され尽くしているといっても過言ではないが、ニコチン受容体とコーヒーとの相互作用については、あまり研究されていない」と説明する。

 そこでPapke氏らは今回、ヒト脳内の特定のニコチン受容体〔ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)〕の亜型を発現したアフリカツメガエルの細胞に、焙煎していない豆から抽出したコーヒーと深煎りした豆から抽出したコーヒーの溶液を塗布し、コーヒーが受容体の活性に及ぼす影響を調べた。