ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
中央アメリカってどんな地域?
中央アメリカ(中米)は、南北アメリカ大陸の地峡部にあたり、ベリーズ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマで構成される地域です。
地峡とは大陸が最も細くなっているところです。細いながらも南北アメリカ大陸を地続きにしているために両者の交流に重要な役割を果たしてきました。
一方、大西洋と太平洋を隔て、アメリカ大陸の両岸を船舶で渡るには南アメリカ大陸の南端を回るしかありませんでした。
1914年に完成したパナマ運河は、大西洋と太平洋を結びつけるうえで大きな役割を果たしてきました。
とくに、大西洋と太平洋の両岸に国土を有するアメリカ合衆国にとってはその意義はたいへん大きいものがあります。そのため、アメリカ合衆国はこの地域に大きな関心を寄せてきました。
地震、ハリケーンなどの自然災害が多発
北アメリカプレート、カリブプレート、ココスプレート、そして南アメリカプレート。これら4つのプレートの複雑な動きの中で、中央アメリカは形成されました。
火山が多く、地震も頻発しています。また、降水量もきわめて多く、ハリケーンの被害を受けることもあります。こうした条件は日本と似ているともいえます。
災害をもたらすこれらの条件は、豊かさももたらします。
火山性の土壌は肥沃で、コーヒーなどの栽培に向いています。また、世界一美しいといわれるアティトラン湖(グアテマラ)など風光明媚な景観が見られます。
古都アンティグアは大地震によって壊滅的な影響を受け、半ば放棄されたことで美しい街並みが残ることになり、今では世界遺産に登録されています。
生物多様性にも富み、コスタリカではエコツーリズムが盛んです。
世界遺産に登録されているマヤ文明の遺跡
アメリカ大陸にコロンブスが到達する以前からこの地には高度な文明がありました。
グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの高地では、マヤ文明の遺跡が発掘されています。
キリグアの遺跡公園と遺跡群や、ホヤ・デ・セレンなどは世界遺産にも登録されています。
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)