インドPhoto:PIXTA

コロナ禍を克服し、インド経済は堅調だ。内需、外需ともに上向き、前期比年率換算ベースでは二桁成長と試算される。しかし、国内外に不透明要因があり、先行きは頭打ちになる公算が大きい。その要因を解説する。(第一生命経済研究所経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)

経済活動正常化を優先する
「ウィズ・コロナ」戦略を維持

 一昨年来のコロナ禍を巡って、インドは度々世界的な感染拡大の中心地となるとともに、その度に感染対策を目的とする行動制限が景気に冷や水を浴びせる事態に直面した。

 年明け以降も感染力の強い変異株による感染再拡大の動きが同様の事態に発展する懸念が高まったものの、ワクチン接種が進んでいることに加え、過去の感染拡大を通じた集団免疫の獲得が期待されたため、政府は経済活動の正常化を優先する「ウィズ・コロナ」戦略を維持した。