全国紙社会部デスクによると、赤堀被告は碇被告に「夫が浮気しているよ」と繰り返しうそを吹き込み、碇被告は「浮気を知らせてくれた」と信頼するように。共通のママ友を「ボスママ」にでっち上げて「ボスが浮気調査費を立て替えた」「離婚訴訟の費用が必要」などと現金をだまし取るようになった。

 その後、碇被告は離婚し、子ども3人と赤堀被告の自宅近くのマンションで生活を始めた。赤堀被告は「子どもが太っていたら裁判で夫から養育費や慰謝料が取れない」「ボスが監視カメラで見張り、食べ過ぎと言っている」などと言って食事を制限した。

 赤堀被告は碇被告に「翔士郎はお兄ちゃんの半分」などと指示し、わずかな米をおかゆにして分け合って食べる日も。指示に従わない場合は食事を抜くなどの罰を与え、水しか口にできない日が続くこともあった。

 赤堀被告は翔士郎ちゃんが死亡するまでの約2年間、碇被告から生活保護費や児童手当、アルバイトの給与などを巻き上げ、車や私物も売却させていた。さらに通帳も管理し、公的扶助として振り込まれた翔士郎ちゃんの葬儀代も引き出していた。一方で赤堀被告は美容院に約50回通い、家族旅行も10回以上出かけていたとされる。

 碇被告は逮捕後、福岡県警の捜査員から「ボスママ」とされた人物が事件とは無関係だったことや、訴訟が実際には起こされていなかったこと、夫に浮気の事実はなかったことなどを告げられ、次第に“洗脳”が解けていったという。