スタンフォード大学・オンラインハイスクールはオンラインにもかかわらず、全米トップ10の常連で、2020年は全米の大学進学校1位となった。
世界最高峰の中1から高3の天才児、計900人(30ヵ国)がリアルタイムのオンラインセミナーで学んでいる。そのトップがオンライン教育の世界的リーダーでもある星友啓校長だ。全米トップ校の白熱授業を再現。予測不可能な時代に、シリコンバレーの中心でエリートたちが密かに学ぶ最高の生存戦略を初公開した、星校長の処女作『スタンフォード式生き抜く力』が話題となっている。
ベストセラー作家で“日本一のマーケッター(マーケティングの世界的権威・ECHO賞国際審査員)”と評された神田昌典氏も、
「現代版『武士道』というべき本。新しい時代に必要な教育が日本人によって示されたと記憶される本になる」
と語った本書の要点と本に掲載できなかった最新情報をコンパクトに解説する本連載。
6/18に「情報7daysニュースキャスター」、7/2に「朝日新聞be on Saturdayフロントランナー」出演で話題の著者が、「最新脳科学に基づく生き抜く力」を紹介する本連載。今回は元総合格闘家との異色対談後編をお届けしよう。
星友啓(以下、星):前回は、格闘家の三崎和雄(みさき・かずお)さんから、格闘家になられた経緯、PRIDEチャンピオンになるまでのストーリー、格闘技に対する想い、といったことについてお話を伺いました。
今回は、三崎さんの現在にフォーカスし、農業、教育者としての活動や、それらに通ずるコンセプトなどについて、深く掘り下げてお話を伺っていきます。
武道と農業を通じて伝える「共育」の精神
日本の男性元総合格闘家
KATORI DOJO、KASHIMA DOJO主宰。PRIDEウェルター級グランプリ2006王者。現役時代から長渕剛のパーソナルトレーナーを務め全国ツアーにも同行。道場での指導の他にも、農業を通じて自然の恵み、理を感じ、学び取る事ができるとの考えから「武道と農業」をテーマに子ども達と一緒に田植えや稲刈り体験なども行っている。「武道家」「スポーツ選手」として、講演活動も行い、「武士道」を発信し続けている。
星:三崎さんは格闘技界を引退された後、どのような活動を行われているのか、詳しくお聞かせいただけますでしょうか?
三崎和雄(以下、三崎):道場を開いておりますが、また同時に農家でもあります。
武道は自らが「痛み」を知るからこそ、ヒトの痛みがわかり、「優しさ」を学べます。
しかし世の中では自分の感情をコントロールできない人が増えてきています。
そんな時代だからこそ、武道の重要性が増してきていると思っています。
一方、農業では「生きる」ことを学びます。
3歳の子どもでも、田んぼに入って苗を植え、鎌を持って収穫します。
そして、生きる。
命というものを学びます。
現代に生きる人たちは気づきの能力が低下してしまっています。
私はこの気づきの能力を高めていかなければと思い、その入口として農業を伝えています。
よく自分の子どもに「こうしなさい」と言う人が多いのですが、それは自分の経験を言っているだけであって、自然界を見渡せば、他の答えもたくさん出てきます。
自分で感じて、自分で考える。
答えはたくさんあっていいと思うんです。
それに気づいてもらうために「心を耕す教育」が必要だと考えます。
農業は英語で「アグリカルチャー」と言います。
「カルチャー」は文明・文化ですが、ラテン語では「耕す」という意味です。
こういった言葉の本質に気づいていない人が多いのです。
星:なるほど。武道や農業を通して子どもたちにそうした人間の心の働きの本質を身につけてもらう「教育」をなされているわけですね。
三崎:はい。何かを育てるということは野菜でも人間でも当てはまると思うのです。
私は「共に育てる」という意味で、「共育」という先人から受け継いできた大切なメッセージを伝え、後世に残したいと取り組んでいます。
例えば、田舎の村社会は、「人との繋がり」「助け合い」「物々交換」があるように、一人では生きていけない環境です。
私は村社会のようなコミュニティをもう1回地方につくっていくことで、「寺子屋」のような道徳的な教育を行い、ルールを教えていく。
子どもたちに「優しさ」と「生きる」ことを身につけてもらいたいのです。