日本の魅力(2)
「建築」~木造建築~

京都の町屋建築京都の町屋建築

 日本の建築も、海外の人から見るとユニークな魅力がたくさん!

 昔ながらの日本の家を想像すると、夏に縁側でスイカを食べる風景を思い浮かべる人も多いかと思います。日本は高温多湿の気候のため、風通しがよく、湿気を逃しやすい「木造建築」になっています。

 そのため、家の壁は薄い傾向があり、日中は戸を全開にして、夜は雨戸を閉めることが一般的でした。室内も頑丈な扉ではなく、襖や障子など、木材や和紙を使用した湿気を吸いやすい設計になっています。また地震が多いため、揺れに対する柔軟性の高い木材が使用されてきたという背景もあります。

 海外の人が日本の古い建築を見ると「こんなに壁が薄く無防備で、防犯は大丈夫なの?」と疑問をもつことがあります。日本は島国のため海で隔たれており、諸外国から攻められることが少なく、比較的治安がよかったこともあり、このユニークな建築が確立されたといえるでしょう。

『今こそ学びたい日本のこと』P.134より『今こそ学びたい日本のこと』P.134より 拡大画像表示

 また、地震の衝撃に耐えられるよう、釘やボルトを使用せずに木材を組み合わせる「木組」の技術は日本建築の神髄です! 「木組」は平安時代以前より存在しており、世界最古の木造建造物である奈良の法隆寺にも使われています。木材同士の隙間にすっぽりおさまって一体化するので、地震の揺れの衝撃を全体に分散させ、耐久性を高める仕組みになっていて、古くから宮大工が用いてきました。日本の古い寺社仏閣が今も現存しているのは、この木組のおかげといっても過言ではありません。

日本の魅力(2)
「建築」~ヨーロッパとの違い~

『今こそ学びたい日本のこと』P.135より『今こそ学びたい日本のこと』P.135より 拡大画像表示

 一方、西洋では地震が少なく寒い地域が多いため、石やレンガを積み重ねる石造りやレンガ造りが主流となっています。風通しがよくない分、外気が入りにくく、室内は熱が籠りやすい造りとなっています。

 また、隣国と陸続きのことも多いため、他国が攻めてきた時には頑丈な石やレンガは防壁やシェルターの役割も担います。このような地理的気候的な違いから建築の違いが生まれたのでしょう。

 ぜひ日本を旅する時は、西洋や他国の文化と比較して、「日本がいかにユニークなのか」を感じ、新たな視点で楽しんでみてください!

 次の記事(10/2〈日〉配信予定)では、【「庭園」&「伝統工芸」編】をお送りします。お楽しみに!

『訪日観光のプロが「日本庭園・伝統工芸」の魅力を伝授!目からウロコの豆知識を』を読む