興奮するお父さんのありがちな行動
『テレビで台風情報をチェック』

 お父さんの興奮の激しさがどの程度かを表す指標として、筆者の独断と偏見で“興奮度”というパラメーターを用いることとする。まずは興奮度★1のものから紹介する。
 
 「台風が接近すると、テレビのチャンネルが父の手によって隙あらば台風関連のものになる。私が思春期だった頃、家族が他のチャンネルを見ていて、台風情報を見たがってそわそわする父がすごく嫌だった(笑)」(30代女性)
 
 このようなお父さんは、比較的多く見かける。自覚症状はなかったが、どうやら筆者もそのようで、妻に「台風情報を見たがるよね」と指摘され気づいた。

 たしかに普段はテレビを見もしないのに、先日の台風14号の時は、よくテレビで台風情報をチェックしていた。言い訳するなら、ちょうど外出の用がある日と台風が直撃する日が重なっていたため状況を把握しておきたかったのだが、「台風で興奮していたからでしょ?」かと問われれば、完全には否定できないかもしれない。
 
 なお筆者はTwitterやネットでも台風情報をチェックしたが、台風情報を見るならなんとなくテレビに限る。そういえば父もよくテレビで台風情報を見ていたから、その父の姿を見て育った筆者も自然とそのスタイルを踏襲しようとしているのかもしれない。

「夏の風物詩」となるお父さん
家族に喜ばれるか煙たがられるか

 台風に過度に興奮するお父さんは、多くの場合家族からやや冷ややかな目で見られるが、家族を喜ばせるパターンもある。次に紹介するのは、興奮度★2のお父さんである。
 
「『強めの台風が来る』と聞くと、父が保存用の非常食を大量に買い込んできていた。母はそれを見ていつも『こんなにいらない!』と怒っていて、『備えはたくさんあるに越したことはない』と主張する父ともめていた。
 
 父が買ってきて、しまいきれなかった分と、それまで保存していた古い分を、おやつや食事で消費していて、私と弟はそれが楽しみだった。味がすごくおいしいわけではないのだが、非日常的な感じにひそかにワクワクさせられ、おそらく父もそうだった。
 
 母は『お父さんが買いすぎたから』と小言を言いつつも、その食卓は非常食による『ちょっとしたパーティー』で、食事を作る手間が省けたこともあってか、ウキウキが隠せていなかったように思う」(40代男性)
 
 台風によってインフラが損なわれた場合は、非常食や水が必要となる。「それはわかっているけれど、実際に用意するとなるとなかなか…」と考えている人が多い中、率先して非常食を用意してくれるお父さんの存在は頼もしい。
 
 子どもたちは父が台風対策に精を出していることについては何も思っていないが、ただ「非常食を食べる非日常が楽しい」と感じていたようである。

 興奮度★3としたのは、次のお父さんである。
 
「台風が近づくと、ラジオやライトの電池は入っているか、電池のストックはあるかと探し始めて大騒ぎする。ラジオもライトも電池のストックも例年同じ場所に保管してあるのに、父は毎年『あれはどこいった?』とやる。それが始まると、母が『また始まった』と機嫌が悪くなりながら、『あそこにしまったでしょ』と一応探すのを手伝ってあげる。
 
 ラジオやライトに入っている電池が切れていると父の興奮はいよいよ増して、『(電池が)切れてるじゃないか!』とひとりで怒り、母が『知らないわよ、そんなの』と答えて不穏な雰囲気になる。なおその2人は10分もすれば仲直りしている。実家の夏の風物詩」(40代女性)
 
 家庭内に一過性の不穏は流れるものの、防災をしてくれているお父さんは家族にとってありがたい存在であることに間違いはない。