安定収入があるから
「副業」に挑戦できる

 では限られた資金のなかで会社員はどのように資産を増やしていけばいいのだろうか。井上氏は「会社員こそ“副業”に挑戦すべき」と言う。

「僕も初めは副業でブログやYouTubeをスタートしました。2015年ぐらいに500日間ブログを毎日更新していたんですけどまったくダメで、次にYouTubeを始めたんです。お金にならない期間が続いたとしても、副業であれば生活に大きな支障はないし、失敗を恐れずにやりたいことができる。これって会社員ならではの強みですよね」

 当時、井上氏が毎日更新していたブログと現在YouTubeで発信している内容はほとんど変わっていない。読まれやすいよう起承転結の結を冒頭に持ってくる、というブログ時代のノウハウを動画に生かし、現在は成功を収めている。

「必ずしもコンテンツが悪いわけじゃなくて見せ方、やり方が間違っていることもある。または、単純に自分のコンテンツが望まれていないとか。いずれにせよ、失敗しないと傾向は見えません。それがわかっただけでもトライした価値がある。頭で考えすぎずに挑戦してほしい」

 本業で一定の収入があるからこそ、副業ではいくらでも試行錯誤できる。副業といえば、販売や動画編集、アフィリエイトなどが一般的だ。飽和状態であるYouTubeやブログで稼ごうとするのは至難の業だが、どこかにチャンスは眠っているという。

「副業を始めるなら得意を掛け算することが大事。YouTubeでただしゃべるだけで、オンリーワンになれる人はほとんどいません。でも得意なことを掛け合わせていくと、オンリーワンに近づくジャンルがきっとある。たとえば僕の場合、僕よりお金の話ができる人はいるけど、顔出しして、動画でしゃべっている人は少ない。お金、動画、それから元役者という得意を掛け算していくことでライバルが減っていきました。『もう誰かがやっているだろう』は案外思い込みということもあります。だからマーケティングよりも、まず行動。会社員は副業を後回しにしがちで、動き始めるのが遅い人が多い。いろいろ試して、自分に合った資産の増やし方を考えてほしいです」

 収入と保障を得ながら副業や投資にも挑戦できるのが、会社員の特権。世の潮流に流されすぎず、地道に老後資金を増やしていくことも賢い選択かもしれない。