ポイント利用で損する人の
「三つの特徴」とは?

 このようにポイントを好むのは良いとか悪いとかを論理的に考える以前に、人間が持っている心理なので厄介だ。

 それでも注意しておくべきこと、やってはいけないことはある。ここからは、ポイント利用のわなにハマり損する人の三つの特徴について解説しよう。

(1)付与されたポイントを「放置」する
 多くの人は付与されたポイントは使わずにためたがる傾向があるのは、前述の保有効果のとおりだ。しかしながらポイントそのものに金利は付かないし、有効期限が設定されている場合だと、うっかりと利用期限を過ぎてポイントが消滅してしまう場合がある。

 したがって、付与されたポイントは次回の買い物ですぐに使用した方がいいだろう。

(2)ポイント付与のために買い物をする「選好の逆転」に陥る
「選好の逆転」というのは、一言で言えば消費する時に本末転倒な行動を取ってしまうことだ。普通であれば買い物をする場合は値段を比較するのが一般的だが、ポイントをため始めると値段には関心がいかず、ポイント付与の有無で判断してしまう。

 さらに「本日ポイント5倍」というメールが届くと、不要なものでも「いずれ使うから」と買ってしまうことも多い。ポイントはあくまでも「おまけ」なのにそちらを得ることを優先して行動してしまう「選好の逆転」には注意が必要だ。

(3)「制度変更」に鈍感
 ポイントサービスの主たる目的は、顧客の囲い込みである。これはあくまでも企業側の戦略に基づいて行われるものであるから、戦略の変化で制度が変わることはしばしば起こる。

 付与率の変化や利用範囲の変更なども行われる可能性があるため、それらの動向には注意が必要だろう。

 一人の消費者として合理的に考えた場合は、ポイント分の値引きをしてもらうことが最もありがたいのだが、企業側の戦略に加えて消費者側の心理もポイントサービスの普及拡大には大きく影響をしている。

 いずれにしてもポイントはちょっとした楽しみにしておき、過剰に利用への依存をすることのないよう、注意が必要だろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)