波乱相場で大損しやすい人の「危ない傾向」とは?罠にはまる2つの理由写真はイメージです Photo:PIXTA

市場が不安定になると
投資家は「すがるもの」を求めがち

 株式市場はちょっと神経質な展開が続いている。日米の株価はかなり動きが異なるものの、米国の代表的な指数であるS&P500を見ると、今年は年初から波乱続きで6月の安値から8月に戻ったと思ったら、このところ9月に入っては、下落基調といった具合に不安定な状態が続いている。

 これはウクライナ紛争といった政治リスクだけではなく、米国内でインフレと金利上昇という2つの懸念が重くのしかかり、市場の先行きが見えづらいことによるものだろう。

 こういうときはとても不安定な心理状況になるため、多くの投資家は何かにすがり、指針を示してほしくなる。これはある程度やむを得ないことだ。

 投資の世界で面白いのはさまざまな“流派”があることだ。投資のやり方や考え方は実にさまざまでこれが絶対正しいというやり方があるわけではない。

 市場の状況や経済全体の流れといった環境の違い、あるいはその人のリスク許容度や、性格、資金量といった投資家個人のタイプの違いなどによって、その判断方法や投資手法は実にさまざまである。

 ある局面は正しいやり方でもそれが常にうまくいくかどうかはわからない。恐らく投資の世界で絶対に正しいといえるのは、「不確実性」と「ノーフリーランチの原則」だけかもしれない。不確実性は「先のことは誰もわからない」ということであり、ノーフリーランチというのは「世の中にうまい話はない」と言い換えてもいい。

 ところが、そういったさまざまな投資のやり方については、それぞれにそれを信奉する熱心な人たちが存在する。しかもどういうわけか、それぞれの信者たちは原理主義に陥ってしまっている人たちが多く、極めて排他的なのだ。

 およそ日本人ぐらい宗教に寛容な、というか適当な国民は世界的にもまれだろう。投資の世界でもこれぐらい寛容であればいいが、どういうわけか各流派の人たちは他の流派の人たちをあまり良く言わない傾向がある。

 別にそれは自分が信じるやり方をすれば良いわけで、自身のやり方を盲信するあまり、他の人の運用方法や考え方を批判してもあまり意味はない。