投資で失敗する人はたいてい「売り」を間違えます。普通の人間が自然な感情に任せて投資するとほぼ100%失敗します。残念ながら、人間の心理がそうさせてしまうからです。そこで今回は、投資で大損しないために絶対に知るべき「3つの心理」を、行動経済学の視点から解説します(経済コラムニスト 大江英樹)
私は1974(昭和49)年から株式市場に関わる仕事をしてきましたので、およそ半世紀近くにわたってたくさんの投資家を見てきました。投資で成功する人のやり方は一様ではなく、人によってさまざまな方法がありますが、失敗する人のパターンというのは大体決まっているような気がします。その、失敗のパターンを避けることができれば、必ず成功するとは限りませんが、大きな損失を防ぐことはできるでしょう。
資本主義というのは本質的に自己増殖するシステムですから大きな失敗をせずに長期に投資を続けて行くことができれば、ある程度成果は上がります。
そこで今回は失敗のパターンについて考えてみたいと思います。
最大の失敗は
「売り」を間違えること
結論から言えば、失敗のパターンは「売り」を間違えることにあります。
「買い」の場合は、少々高値で買ったとしてもその会社がつぶれない限りは長期に保有していれば、いずれ報われる時がやってくる可能性はあります。しかし、売りを間違えるとリカバリーするのは難しくなります。さらに、その間違いを繰り返してしまうと損失は積み上がり、やがて市場から退出してしまうことになりますので、結果として「投資で失敗する」ことになってしまうのです。
そして厄介なことに、この失敗は多くの人が陥りやすいのです。身もふたもないことを言ってしまうと、普通の人間が自分の自然な感情に任せて投資をすると大体失敗します。
でも、「注意するべき感情」を知っておけば、少なくとも大損を防ぐことはできるでしょう。
次のページからは、投資で大損しないために忘れてはいけない「3つの心理」について、行動経済学の理論を基にお話ししましょう。