ポイントサービスの人気が根強い二つの理由
心の会計効果と保有効果とは?

 一つは、「心の会計効果」(メンタル・アカウンティング)と呼ばれる現象だ。

 ポイントというのはタダでもらえるわけではなく、自分が買い物をしたことによって発生する。つまりそれだけのお金を使わないとポイントは付与されない。これは言ってみれば値引きに相当する部分だ。

 ところが付与されたポイントは心の中で別の勘定に入ってしまう。これをメンタル・アカウンティング=心の会計と言う。

 つまり買い物をしていけば、付与されたポイントはいつの間にか知らないうちに増えていく。そして、いよいよそれを使う段階になると、まるでどこからか降って湧いたようなお金と錯覚してしまい、とても得をした気分になるのだ。

「保有効果」というのは、自分が持っているものについては高い評価をしがちになるということだ。10万円の買い物をして1万円を現金で返してもらった場合、その時はうれしいだろうが、いったんそのお金が財布の中に入ってしまえば、他のお金と一緒になってしまう。先ほど挙げた「心の会計」とは逆に、全く同じ会計勘定に入ってしまう。もし帰りにご飯を食べたり、洋服を買ったりする時に使えばいつの間にか消えてしまう。

 ところがポイントというは自分がそれを使うまでは残るから、ポイント残高を確認するのはまるで預金通帳を見るのと同じような気分になる。

 たまっていくポイントを眺めながら内心ほくそ笑む、ということを楽しみにしている人は結構多いのだろう。