棚卸しはどんな機会でもできます。50代以降になっても遅きに失することはありません。

 むしろ、豊富な経験の棚卸し作業の楽しさは増えてきます。ですので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

MUST――自分を必要としてくれる場の選択肢を広げる

 最後は「会社や社会から期待されている役割」を意味するMUST。

 WILLやCANを含めた3項目とも重なる仕事が、自分のやりたいことや能力と合致したやりがいの大きい仕事ということになります。

 当たり前のことですが、WILL(やりたいこと)とCAN(できること)が明確になったとしても、それが実行できる場、つまり、あなたの夢や能力を受け入れてくれる職場、あるいは仕事がなければ意味がありません。

 つまり、中高年以降も仕事の選択肢を増やすことが重要となります。そのためにはWILL、CAN、MUSTの範囲を広げていきたいのですが、まずはWILLやCANから取り組むのがよいでしょう。

 たとえばWILLであれば、自分の関心事を広げる、CANであれば、知識や技能を習得して、できることを増やせばよいのです。

 一方、MUSTを知ることとは、世の中の変化を知ることと同義語でもあり、近道や決め手はありません。しかしながら、アンテナを広く張り巡らせ、好奇心を持って情報収集し、自らの志向・嗜好に沿って情報を整理していく習慣が後々ものをいうことは間違いないでしょう。

 有名なキャリアの概念で「プランド・ハップンスタンスセオリー(計画された偶然)」があります。広いアンテナや問題意識を持っておくことで、「偶然ばったり出会った人がきっかけとなって、未知なるキャリアが開けた」ということが実際に起こるものです。