CAN――自分が気づいていない“自分の強み”にどう気づくか

「あなたの強みは何ですか?」「わが社ではどんな貢献ができますか?」

 この種の質問は、即戦力人材を求めるキャリア採用面接の定番ですよね。

 CANは「自分のできること」ですが、たしかに面と向かって聞かれると、答えに窮する方もいらっしゃるでしょう。

 できることを考える場合、わかりやすいのは資格やスキルです。資格がなくても営業一筋でやってきた方ならば、営業が「自分のできること」になります。

 ただ、これまで就いてきた職種だけで終わってしまっては、自己理解にはつながりませんし、転職活動や副業探しにおいても、自己アピールとしては弱いですよね。

 たとえば、「広報」の仕事を例に取ってみますと、漠然と「広報ならできます」というと間口が狭まります。しかし広報の仕事を通じて「財務諸表が読める」「企業ガバナンスを理解している」「人的資本の価値を説明できる」「SDGsの取り組みを理解している」「ネガティブ質問にも冷静に対処できる」「経営者の気持ちが代弁できる」といった具体的なスキルや携わってきた仕事内容を挙げれば、先方では「管理部門を幅広く任せられる人材」として評価される可能性が高まります。

 営業にしても「コミュニケーション力」「プレゼン力」といった営業で培ってきた具体的なスキルを掘り下げ、アピールすることで、先方の受け止め方も変わってくるでしょう。

 つまり、これまでの仕事を通じて身につけ、発揮してきた能力を「因数分解」することで、自分の強みや能力を相手に簡潔に説明することができるようになってきます。

 このように自らの体験や能力を因数分解して、普遍化する作業を「経験・能力の棚卸し」といいます。これまで携わってきたすべての仕事での経験や実績について書き出し、整理することです。この棚卸しによって、自身の強みやスキルを可視化でき、これから目指すキャリアの方向性を明確にすることができます。