なぜ加熱式たばこは、露骨に「優遇」をされているのか

 9月22日の「日本経済新聞」の「家計の法律クリニック」にもこんな相談が寄せられている。

<同僚と居酒屋へ行ったところ、周囲の客が皆、「たばこ型の機器」を吸っていました。煙は出ないのですが、独特の臭いで気分が悪くなり、間もなく店を出ました。法律でたばこは喫煙室でしか吸えなくなったと思っていたのですが、最近見かけるこうした製品は規制対象ではないのですか>

「確かに、居酒屋でアイコス片手に飲んでるな」と共感する方も多いのではないか。

 日経記事では、これは改正健康増進法で、店内と喫煙スペースの面積の比率は定められていないことと、加熱式たばこだけ「喫煙室での飲食」が認められているからだという。つまり、「店舗の大半を『喫煙室』とし、ごくごく一部に非喫煙スペースを設置することも可能」(同紙)という法律の抜け穴をついたのだ。釈然としない話ではあるが、こうすれば屋内で加熱式たばこを吸うのは「合法」なのだ。

 そこで非喫煙者や嫌煙家が気になるのは、なぜ加熱式たばこが、ここまで露骨に「優遇」をされているのかということだろう。

 加熱式たばこに詳しい、国立がん研究センター・がん対策研究所予防検診政策研究部の片野田耕太部長はこう述べる。

「たばこ産業と関連団体の強力なロビイングと、たばこ族議員と呼ばれる人たちの影響力によって、特例扱いにせざるを得なかったということが大きいのではないでしょうか。ただ、そのような政治判断を後押ししたのは、この法律がつくられた当時、加熱式たばこの健康リスクに関するエビデンスがまだしっかりとそろっていなかったということもあります」

 では、現在はどうか。