たばこが運動習慣にもたらす大リスク、禁煙・減煙には瞑想が効く?禁煙を成功させるには工夫が必要だ。禁煙を成功に導く方法や瞑想の効果とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

国際的にも喫煙に関するルール整備が進む中、健康のことを考えて減煙や禁煙にチャレンジする愛煙家は少なくない。喫煙には様々な疾病を引き起こすリスクがあるほか、有酸素運動のパフォーマンスを低下させる恐れもある。とはいえ禁煙に失敗する人も多く、禁煙を成功させるには工夫が必要だ。書籍『ハーバード医学教授が教える 健康の正解』などを参考に、禁煙を成功に導く方法や瞑想に期待される効果を紹介する。(文/フリーライター 鈴木 舞)

喫煙が運動にもたらす
大きなデメリット

 まず、厚生労働省が発表した資料「喫煙と健康」を参考に、たばこの健康リスクを解説したい。

 たばこ製品が持つ健康への悪影響としては、ニコチンによる依存性や有害性、メンソールなどの添加物による魅惑性が大きい。紙巻たばこが発する主流煙には約5300種類にも上る粒子成分が含まれているが、そのうち約70種類の化学物質には発がん性があると報告されている。たばこの煙は肺へと運ばれ、血液の循環によって肺から全身の臓器へと運ばれていく。つまり、たばこに含まれる化学物質は全身に影響を及ぼすというわけだ。

 たばこによって引き起こされる可能性がある疾患としては、がん、動脈硬化、虚血性心疾患、脳卒中などがある。こうした疾患は喫煙者本人だけでなく、副流煙によって周囲の人に影響を及ぼすことにも注意したい。

 さらに、喫煙が運動習慣に与えるデメリットも大きい。たばこの煙に含まれる物質は、肺の組織に炎症を引き起こすことがあるのだ。こうした肺の炎症は呼吸機能の低下を招くとも考えられている。ニコチンを摂取すると、体内では交感神経系が刺激される。すると、心拍数の増加や血圧上昇、心筋収縮能の増加などが発生し、心筋の酸素需要の増加を引き起こす。

 たばこの煙に含まれる一酸化炭素(CO) は、ヘモグロビンと非常に結びつきやすい性質を持つ。一酸化炭素がヘモグロビンと結びつく力は、酸素と比べて220~250倍も高い。健康的な体では、血液中で酸素とヘモグロビンが結合し、全身に酸素を運んでいる。ところが喫煙によって一酸化炭素の量が増えた結果、酸素とヘモグロビンの結合が阻害されてしまう。体内の酸素供給が低下し、心筋にかかる負荷が大きくなるというわけだ。