自分を自分に戻らせてくれる超有効なツール
──「海外に行く」のがちょっとハードルが高い……という人に向けて、何か、日常生活でできる習慣などがあれば、教えてください。
野沢:「派手な格好をする」っていうのはいいかもしれません。私もいつも、年齢も気にせずカラフルで派手派手な服ばっかり着てますけど、慣れてくると、人目を気にしなくなってくるんですよね。ときどきインスタに、「アメリカだとそういう格好ができてうらやましいです」みたいなコメントをいただくことがあるんですけど、私、アメリカでもめっちゃジロジロ見られるんですよ(笑)。
──(笑)。
野沢:アメリカ人って、他人のファッションとか全然気にしないイメージあるでしょ、そんなことない(笑)。上から下まで舐めるように見る、コンサバティブな人もいるんです。結局、自分が気にするかどうかの問題なんですよね。
──そっか。でもたしかにファッションって、気分をガラッと変えてくれますよね。
野沢:自分の価値観を壊す第一歩としては、すごくいいと思います。好きな洋服を着ることによって、無意識に、着ている洋服に自分を擦り寄せていく感覚があるんです。
──洋服に自分を寄せていく。
野沢:洋服は私にとって、どういうときでも自分のアイデンティティを思い起こさせてくれるツールなんです。自分の好きな恰好を身に纏うことで、「大丈夫、これが自分」と教えてくれる。「母親」という役目に24時間どっぷり浸かってたら、自分のことを忘れちゃうじゃないですか。
ファッションを「自分に戻らせてくれるツール」としてうまく活用していけば、徐々に、自分らしさがわかってくるかもしれません。年齢を重ねれば重ねるほど、「年相応でいなきゃ」「いい歳なんだから上質なものを身につけないと恥ずかしい」という気持ちも強くなっていくものだから。「母」の顔でもない、「会社の〇〇さん」の顔でもない、「自分」の顔を身につける時間を少しでもつくって、つまらない世間の目も、振り払っていけたらいいですよね。
【全4回・了】
【大好評連載】
第1回 「圧倒的に優秀な人」との差に絶望したらやるべきたった一つのこと
第2回 【今さら遅い…】年齢を気にしてやる気がでない「アダルト挫折」を乗り越える方法
第3回 「命の終わりにはお金がかかる」親の死で直面した介護の壁