「命の終わりにはお金がかかる」親の死で直面した介護の壁

家族が亡くなるとき、どのくらいお金がかかるのか考えたことはありますか。「親って、フッと綺麗に死んでいくものだと思ってた」。そう語るのは、タレント・野沢直子さんです。
人気絶頂の中、日本でのすべての芸能活動を休止し、渡米してから約30年。その生き方と圧倒的な個性で注目を集めてきましたが、アルコール依存症の父親が亡くなったとき、介護の壁・お金の壁に直面したといいます。
還暦をまえにして「60歳からの生き方」について語ったエッセイ集
『老いてきたけど、まぁ~いっか。』も大きな話題を呼んでいる野沢さん。今回は本書の発売を記念し、人生の苦境を乗り越えるためのヒントを、野沢さんにもらうことにしました。(取材・構成/川代紗生、撮影/榊智朗)

50代は、実は一番迷いが多い時期

──今回のエッセイには、人生後半でかかるお金の話も赤裸々に書かれていましたよね。

野沢直子(以下、野沢):お金の悩みは本当にね、尽きないから……。私も全然貯金がないので、「こうしたらいいよ」って明確なアドバイスはできないんですけど。ただ、父の死を通して学んだこと、感じたことはエッセイにこめたつもりなので、何か考えるきっかけになれば嬉しいです。

──野沢さんにとって、人生で一番お金がなかった時期は?

野沢:今です、今。今がいちばんない(笑)。

──え!

野沢:これから先、どうしようかなあと、考え中です。お金は、20代のときがいちばんありましたね。

──子どもの頃は、大変な時期もあったと書かれていましたが。

野沢:はい。中学生くらいまで、うちはすごく貧乏だったんです。父親は、「一発当ててやる」っていつも言っているようなタイプの人だったので、事業をやっては失敗し、やっては失敗し……の繰り返し。私が12、13歳くらいの頃に父親が始めた事業が当たって、そこから生活は楽になりましたけどね。

──子ども時代の経験が、今に繋がっている部分はあると思いますか?

野沢:「どうにかなるって!」みたいな変な逞しさは、当時の影響かもしれないですね。今も危機感が持てなくて、あんまりよくないんですけど(笑)。エッセイにも書きましたが、59歳、そろそろ準備しないとなあと思っているところです。