ヤマト運輸(本社・東京都中央区)の長尾裕社長は10月12日の「Amazon ECサミット2022」のセッションで、クール宅急便においてEC利用を前提とした新たな仕組みを構築中にあることを明らかにした。長尾氏は「(EC市場における)食品領域は今後、非常に有望」との考えを示した上で「この領域でいかにオンライン消費に適したプロセスを作るかがこれから非常に重要となる」と強調した。
食品EC急拡大でクール宅急便も2割増
「Amazon ECサミット2022」は、アマゾンジャパンがAmazonに出品する販売事業者や出品を検討中の事業者などを対象に10月12~13日の2日間オンラインで開催したイベント。長尾社長はアマゾンジャパンの吉沢直大・FBA&MFN事業本部長と「ヤマト運輸とAmazonの物流・フルフィルメントサービス」をテーマに対談し、販売可能なEC商材拡大に向けたフルフィルメントサービスの拡充に関して質問に答えたもの。
ヤマト運輸はこれまで、クール宅急便を利用した鮮度維持配送を通じて、商圏拡大や販売機会増といった生産者支援に取り組み、「全国の非常によい食品を作ったり調達したりする生産者様と長くお付き合いしてきた」と長尾氏。一方で、コロナ禍などを背景に食品EC市場は急拡大しており、今年6月に開かれた同社記者説明会でも、鹿妻明弘専務執行役員が「(クール宅急便の需要は)19年まではしばらくフラットだったが、コロナ禍の20~21年で2割くらい伸びている」と説明していた。