なぜ、SPI試験は算数と中学校数学までの内容なのか
その疑問に答えるため、いま大学生が必死に勉強している就職活動の筆記試験に着目することにします。筆記試験で企業側がよく利用するSPI試験には言語分野と非言語分野がありますが、後者の内容はほとんどが算数やせいぜい中学校数学程度の内容です。
中学校受験=算数
高校受験=中学校数学
大学受験=高校数学
就職試験=算数と中学校数学
これは私の解釈になりますが、義務教育で学ぶ算数と中学校数学は、いわば「一般常識」。高校数学は、もう「専門知識」です。できるだけ長く数学と触れ合うことはメリットが大きいと先ほど解説しましたが、それは能力開発の視点であり、「専門知識」の習熟度(つまり成績)は、それを専門とする仕事をする人に限って重要なのです。例えば教育者、研究職、エンジニア、アクチュアリー、などでしょうか。
だから一般的な就職試験は「専門知識」ではなく、「一般常識」となる算数や中学校数学レベルの問題を使って数理能力を問うのです。
私たちに必要な「ビジネス視点の数学」とは?
ということは、私たちビジネスパーソンが持っているべき最低限の数字スキルというものは、算数や中学校数学をベースにすればよいということになります。これが、『「仕事」に使える数学』の中で私が主張する
「ビジネスパーソンに難しい数学なんていらない!」
という言葉の根拠です。他の数学の専門家にはケンカを売るようなフレーズなのかもしれませんね。
話を結論に向かわせましょう。
ならば、かつて学んだ算数や中学校数学の教科書をそのまま学べばよいかというと、もちろんそうではありません。