つまり、数学なんてやっぱり役には立たないということ?
当然、このような指摘をいただくことになるわけですが、お答えしましょう。
「それは違います」
拙書『「仕事」に使える数学』でも書きましたが、学生時代の数学の成績とビジネスパーソンになってからの成績とは関連しません。しかし一方で、ある統計によると大学受験において受験科目に数学を選択した文系学生は、そうでない文系学生に比べて、その後の社会での活躍や年収に差が出ているようです。これは、いったい何を意味しているかというと……、
「成績」ではなく「数字を使ってものごとを考える行為をできるだけ長い期間行なうこと」
それが、社会人になってからのパフォーマンスに影響しているということです。つまり、学生時代の数学はビジネス視点でいうと「能力開発」であり、高校の1年生あたりでサッサと数学とはオサラバしてしまった方は、能力開発がなされないまま大人になってしまうのです。
問題点が浮き彫りになる
ここで1つの問題が浮き彫りになります。
中学生や高校生、ましてや小学生は、教育者に「将来ビジネスで役立つから」といわれても、数学を学ぶモチベーションは上がりません。私だって、きっとそうでしょう。ということは、何が必要になるのでしょうか。私の答え。
大人になってから、ビジネス視点で数学を学び直す。
実際、書籍やビジネスでも「大人のための数学学び直し」というコンテンツが増えてきているようです。私としてももちろんウェルカム。すばらしいことです。
しかし、大切なのは、具体的に何を、どう学び直したらいいのか、ではないでしょうか。まして「ビジネス視点で」って、いったいなんだ?という疑問が皆さんにも生じるはずです。