うっかりした一言で職場の空気を凍らせてしまった経験は、誰だって一度や二度はあるでしょう。その言葉を受け取った相手の気持ちを想像すれば、もっと別の素敵な言い方があったはず!『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』(ダイヤモンド社)では、対上司、対部下、対同僚、対お客様…それぞれの場面別で話し方の失敗例と成功例を解説しています。コミュニケーションの現場で揉まれてきた元客室乗務員が教える「魔法のフレーズ」集から、すぐに使えるものをピックアップしてお伝えします。コミュニケーションひとつで職場の雰囲気は明るくなり、あなたもきっと信頼される存在になれる!

【部下のほめ方】ただ「すごいね」だけでは何も伝わらないPhoto: Adobe Stock

相手の良いところは具体的に伝える

【部下のほめ方】ただ「すごいね」だけでは何も伝わらない

<NG>すごいね!

<GOOD>○○さんの□□の部分がすごいと思う

 弊社のあるスタッフが入社して半年ほど経った頃のことです。「いつも助かってる」「○○さん、ほんとにすごい」と、良く伝えていました。ある日、彼女は嬉しそうな反面、不安そうに「えー、そうですか~? 私の、何がすごいんですか」と聞いてきました。

 彼女はもしかしたら自分の良さをわかっていないのかもしれないな、と思いました。これまでお仕事をしてきた中で、もしも具体的に「あなたの良さ」を伝えられたことがなかった場合、自分は他の人とどう違うのか、どこが長所なのか、わかる術がないのかもしれません。

「例えば、いつも先を見越して準備してくれるところがすごいと思う」「仕事をお願いしたら、その場で必要なことをすぐに確認してくれるところが助かってる」「あとは何より、仕事がびっくりするくらい早いところ」と、具体的に伝えました。

 そのとき、彼女は「今の仕事の仕方でいいんだな」と、安心した様子だったことを覚えています。

 人は「良く見てくれているな」と実感できたら嬉しいものです。特に部下は、上司に具体的に承認の言葉をもらうと、「このやり方でいいんだ」「この部分、私は得意かもしれない」など、自己理解にもつながるのです。

「すごいね」「すばらしいね」と、ざっくりと伝えるだけではなく「○○さんの□□の部分がすごいと思う」などのように、名前を呼びながら、具体的に伝えてみましょう。

※当記事は、『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』から抜粋・編集したものです。

比嘉華奈江(ひが・かなえ)
株式会社Life is Love代表取締役。日本コミュニケーション能力認定協会本部トレーナー/上級トレーナー
大分県出身。1998年、沖縄へ移住。日本トランスオーシャン航空株式会社にて14年間客室乗務員として勤め、安全と顧客満足の追求、そしてチームづくりは人づくりであることを現場で学び・実践。2012年、沖縄では初となる働き方改革コンサルティング会社を設立。「あらゆる多様性を可能性に変える」という理念のもと、組織開発コンサルティングや次世代リーダー育成、チームビルディングなどの実績多数。またダイバーシティや女性活躍推進などの研修も行う。クライアント企業は医療・不動産・観光・製造販売・IT通信・エネルギー・保育・建設など多岐にわたる。企業支援数500社以上。登壇回数は2000回を超える。『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』がデビュー作