部下に仕事を頼む際、ちょっとした声掛けの違いで相手のヤル気も大きく変わります。人間心理に関する多くの著書を持つ精神科医の和田秀樹氏の新著『感情的にならない話し方』の中から、相手のモチベーションを削がないための、言葉掛けのコツをご紹介します。
「ともかくやってみよう」と励ませば
部下もやる気になってくれる
前回も書きましたが、できる人はどうしても他人への要求水準が高くなります。
でも、そうでない人も大勢います。おおらかとか寛容、心が広いといった言葉が当てはまりそうですが、それだけではありません。
なぜなら、できる人だって何もかもできるわけではありません。苦手なこともあるし、いまはできても以前はできなかったことがあります。「わたしだってダメなときがあった」とか、「できないことだってある」とあっさり認める人は、他人に対する要求水準もそれほど高くないのです。
たとえば親が子どもを「そんなこともできないの」と叱るときには、自分が子どものころはどうだったかを忘れています。「そういえば、わたしもこれくらいのときは何にもできなかったな」とは考えないのです。
仕事でも同じですね。
できる人ができない人に不満を持つときは、自分にもできない時期があったことや、いまでも苦手なこと、不得意な分野があることを忘れています。
そういうことを思い出せば、「できなくても仕方ないな」という気持ちになります。