今年の気候変動会議に参加する各企業のファンファーレが控え目だからといって、「脱炭素」に対する熱意が必ずしも衰えたわけではない。開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に出席するため、世界中の企業リーダーや政治指導者が、エジプト東部の紅海沿岸にあるシャルムエルシェイクに集結している。英国グラスゴーで昨年開催されたCOP26で注目された成果の一つは、企業が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすると相次いで約束したことだった。だが企業トップが今年、あまり声高に主張しなくなったのには多くの理由がある。脱炭素の取り組みを大げさに宣伝する「グリーンウォッシング」への批判がここ数年高まったのを受け、逆のトレンド(「グリーンハッシング」と呼ばれる)が台頭しているようだ。つまり一部の企業は、自分たちの気候変動の行動計画について公表しない道を選択している。カーボンオフセット開発を手がける環境コンサルティング会社のサウスポールが世界1200社余りを対象に行った調査では、公式に約束したネットゼロ(排出量実質ゼロ)を達成するために社内で策定した科学に基づく目標を公表しないつもりだと答えた企業が4分の1に上った。