採用にまさかの540人強の応募
一気に思考停止に陥った

 日露戦争の台本作成は、それまでの台本作成と比べるととてもゆっくりと進んでいました。それは、同時に採用活動をしていたからです。

 当時、僕たちCOTENのコアメンバーは、僕も含めてわずか9人。でも、COTENはPodcast番組を作るための会社ではありません。Podcast番組はあくまで、僕たちの活動を知ってもらうためのPR部門の位置づけです。

 ではメインの事業は何かというと、「歴史のデータベースを作ること」。データベース以外にも、会社のミッションである「メタ認知の機会を提供する」を達成するため、講演会に登壇したり、上場企業の経営陣に向けた歴史コンサルティングも手掛けています。ありがたいことに仕事の依頼もどんどんと増え、9人のメンバーでは、手が回らなくなっていきました。

 そこで、コテンラジオを通じて、新たに仲間を募集するとお知らせしたんです。当初は50人~100人程度の応募を見込んでいたのですが、実際には540人あまりの応募がありました。

 僕たちのような小さなスタートアップ企業に、これほどの応募があるのは、異例のことでしょう。それも応募してくれたのは、医師や弁護士といった士業の方々や、博士号を持った研究者など、実に幅広い優秀な人々ばかりでした。

 僕たちはたった9人で、募集してくれた540人あまりの中から、事業推進を担うメンバーと、歴史調査などを担うメンバーを、選考していかなくてはなりませんでした。

泥沼の日露戦争から経営のエッセンスを学んだコテンラジオPhoto: Adobe Stock