賢者は歴史に学ぶ!歴史入門#11Photo:jtyler/gettyimages

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ――とはいうものの、「過去から何も学んでないんじゃないか」と思うほど、世界史では酷似した悲劇が繰り返されてきた。特集『賢者は歴史に学ぶ! 歴史入門』(全14回)の#11では、古代史の大家として知られる本村凌二東京大学名誉教授のインタビュー。本村教授は、人間が集団として歴史から学んだ稀有な例が、わが国日本にあると指摘する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

「週刊ダイヤモンド」2022年6月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

ウクライナ侵攻を
古代史の大家はこう見た

――今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻を、歴史の専門家の立場からどう見ますか?

 ロシアのウクライナ侵攻は、18世紀以前に見られたような古い形の侵略戦争だ。まさか本当にロシアがウクライナに攻め込むなんて、ほとんどの人が予測していなかったと思うし、実際、私も起こるとは思っていなかった。20世紀に2度の世界大戦を経験した人類が、21世紀にこんな古い形の戦争をするなんて思いもしなかった。