不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
粘り強く頑張ればいいわけではない
「あきらめが悪い」っていう表現がありますよね。「最後までやり抜く」「粘り強い」など、ポジティブな意味合いを含みますが、ただ「あきらめる」というと「根気がない」「継続性がない」など、ネガティブな印象が強いですね。
それはケース・バイ・ケースの話で、粘らないほうがいいことをあきらめないで頑張っていると、状況はどんどん悪化する可能性が高いわけです。経営の世界に「サンクコスト(回収できない埋没費用)効果」という言葉があります。これまで費やしてきたお金や労力が惜しくて、中止や撤退の決断ができず、同じことを続けてしまう心理のことです。こうしたケースでは、むしろ早くあきらめたほうが得策なわけです。
あきらめが悪いほうがいいのか、ある程度早い段階であきらめたほうがいいのか、見極めることが大切だということです。ところが、あきらめの悪い人っていうのは、見極めることもなく、なんとなく漠然と粘っちゃうんです。
自己肯定感をなくさないために
一方で、すぐには成果が得られないことは明らかなのに、続かないということもあります。筋トレなんかは、そうですよね。筋肉をつけるには3ヵ月くらいは続けなければいけないことは、なんとなくわかっているのに続かない…なんて人も多いでしょう。
あきらめが悪い人もいれば、あきらめるのが早い人もいます。あきらめの悪い人は、粘ったほうが結果が出る環境に身を置くようにすれば、自分の性質をうまく発揮できます。そういうふうに、自分の性質を見極めて、自分を活かせるところに身をもっていく見極めも大事なんですね。
そうでないと、自分を責めてしまって自己肯定感をなくすことにもなりかねません。そういう悪循環を生まないためにも、冷静にフラットな精神状態で、このケースは自分の性質に合っているかどうか、飛び込むべきか、どういうふうにふる舞ったらいいのか、といったことを見極めるようにしましょう。
本稿は『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。