ビジネスで結果を出す人は、自分なりの「妄想」を手なづけ、圧倒的なインパクトを生み出している──。その具体的手法を解説した『直感と論理をつなぐ思考法』という本が、各界のトップランナーたちに絶賛されている。「つねに根拠ばかりを求める世の中」や「論理ばかりに偏った考え方」に違和感を抱く人は、共感する部分もかなり多いはずだ。元サッカー日本代表監督・岡田武史氏も絶賛したという同書より一部抜粋をお届けしよう。
「自由に考えてみて!」と言われても、
「わりと凡庸なライン」に落ち着くのがふつう
妄想ベースの思考法で気をつけるべきなのは、最初から「独創的な妄想」を考えようとしないほうがいい、ということだ。
たいていの人は、いくら自由に発想しようとしても、どうしても「ありがちなアイデア」「すでにありそうなビジョン」に落ち着いてしまう。また、日頃からよっぽど空想をたくましくしている人でもない限り、最初に出てくる発想はどこか凡庸だったりするものだ。人間の妄想は、さほど人によって違うわけではなく、どこか普遍的な部分を持っている。
この状態を抜け出すには、引き出したばかりの“なま”の妄想に、一定の“加工”を施していけばいい。これは端的に言えば、アイデアに対する「ツッコミ」であり、他人の視点を入れるプロセスだ。
他人から意見をもらうときに、
気をつけるべきこと
最も手っ取り早いのは、アイデアを他人に見せてしまうことだろう。第三者からのフィードバックは、あなたの妄想に新鮮な刺激を与えてくれるはずだ。山頂から転がりだした石が、どんどん加速していくように、ほかの人からのツッコミは、あなたの妄想を磨き上げてくれる。
他方で、「適切なフィードバック」を得るためには、いくつかのハードルがあるという点も忘れてはならない。
たとえば、フィードバックがネガティブだったり見当違いだったりすると、発案者のモチベーションは大きく削られてしまいかねない。また、他者評価を可視化するSNSは、一見すると理想的なフィードバックツールに思われるが、たとえば「いいね!」が多いアイデアほど優れているかというと、必ずしもそうではないだろう。
「インスタ映え」などの現象が象徴するとおり、他人からの称賛を獲得しやすい投稿は、どうしても似たような傾向を持ちがちで、独創性やクリエイティビティからはかえって遠ざかってしまうこともある。
最初は「話が合う人」に
ぶつけてみるのが大原則
アイデアに他人の視点を入れて、洗練させていくときには、こうした手軽な方法を試す前に、ちょっとした工夫が必要になる。
おすすめしたいのが、ビジョンを磨き上げていく仲間(ビジョンメイト)をつくることだ。仲のいい友人、話の合うビジネスパートナーなど、少人数で本書のエクササイズを一緒にやってみてほしい。
そしてフィードバックの際には、
①それが何に見えるか?
②どんな可能性を感じたか?
③さらに一歩、具体化するためにできるアイデアは?
といったことについて、一緒に話し合ってみるといいだろう。
「アイデアを実現するのがうまい人」は、「まずだれにアイデアをぶつけるべきなのか」の選択に長けている。最初はできるかぎり、大人数に意見を聞くのではなく、できることなら、まずはいちばん信頼できる人と1対1で話してみるのがいいだろう。
(本記事は佐宗邦威『直感と論理をつなぐ思考法』の本文を編集したものです)