「単なる妄想」を「地に足のついた戦略」にまで落とし込む方法を解説した『直感と論理をつなぐ思考法──VISION DRIVEN』という本をご存じだろうか。各業界のトップランナーたちに絶賛され、論理に偏った世の中に違和感を抱く人々に大きな共感を呼んでいる一冊だ。本稿では、同書の一部を抜粋・編集してお届けする。
いざ「自分の意見」を言おうとすると、
つまらないことしか言えない…
前回の記事では「『絵がヘタな人』に共通する、たった1つの特徴」と題して、脳の「言語モード」をオフにしたまま、ものごとをありのままに見るためにはどうすればいいのかを説明してきた。
「絵を描くのが苦手な人」に足りていないのは、「絵心」などというあいまいなものではない。むしろ、「イメージ脳」のモードを入れっぱなしにして、「外界の情報をありのままにインプット→アウトプットする」ためのトレーニングをすれば、ある程度のデッサンやスケッチは誰にでもできるようになる。
◎参考記事:「絵がヘタな人」に共通する、たった1つの特徴
今回はさらにそこから突っ込んで、「ありのままのインプット」から「自分なりの答え」を引き出すための方法について考えていこう。
いくら情報をインプットしても、そこから生まれる「解釈」がありきたりなのはもったいない。
いつもたくさんの本を読んだり、ネットで情報収集をしたりしているはずのに、いざ自分の意見を言おうとすると、凡庸なアウトプットしか出てこないという人はいないだろうか?
そういう人は、インプットの量や質に問題があるわけではない。
むしろ、インプットを「解釈」するプロセスでつまずいていると思ったほうがいい。
つい「箇条書き」や「スライド」で
アウトプットするクセがついていないか?
五感を通じて得た情報を、自分なりの視点で解釈するには、「自分の頭のなかをありのままにアウトプットして考えること」に取り組んでみるといい。
一般にアウトプットというと、箇条書きのメモやスライド作成などを考えてしまいがちだが、この段階では「言葉」を使わずに、「絵で考えて、絵に描き出す」のが有効だ。
といっても、決して難しいことではない。要は「落書き」をすればいいのだ。
スタンフォード大学の「両脳思考」の基礎をつくったロバート・マッキムは、創造的な問題解決の核心として、「見ること」「イメージすること」に加えて「描くこと」を挙げている。
また、かのアインシュタインも、思考の初期段階では主に視覚的なイメージを使っていたと言われている。彼のノートをひもとくと、最初はラフな図形などの走り描きがあり、そこから数式や言葉が続くようになっているという。彼だけでなく、いわゆる天才と言われる科学者たちは、具体的な発見に先立って、必ず「絵」を描いている。