ペンス氏や“賢いトランプ”デサンティス氏
トランプ氏以外のリーダーを望む声も

 トランプ前大統領はこの中間選挙に、自らが推薦するいわゆる「トランプ公認候補」を180人送り込みました。それぞれがトランプ大統領と同じように過激な発言をする候補者です。そしてまだ全議席は確定していませんが、現時点でもそのうちの162人と9割の候補者が当選しています。

 数的には議会の中にはトランプ派の勢力が確保できたわけですが、実はトランプ氏にはかげりも見え始めました。接戦州でトランプ氏推薦の候補が次々と敗れ、それが民主党の議席確保につながったのです。つまり共和党が楽勝の地盤ではトランプ氏の力は健在である一方で、民主党との接戦においてはトランプ氏が出てくると逆に共和党への反発票が集まってしまうのです。

 当初は共和党のシンボルカラーでもある「赤い風が吹く」と言われていた今回の選挙では、結局そのような風は吹かず、共和党は2年後の選挙に向けて選挙戦略を見直す必要が出てきました。

 選挙後の下馬評では、2024年の大統領選挙は仮に現職のバイデン候補と戦うことになるとしたら、トランプ大統領よりもトランプ政権の副大統領だったペンス候補の方が勝てるのではないかという意見が強まり始めています。

 さらに、今後勢力を増やしそうな共和党側の大統領選候補の顔ぶれの筆頭にフロリダ州のデサンティス知事の名前が挙がっています。デサンティス知事はトランプ氏と同じように保守的で過激な発言をすることで人気を集めています。まだ40代と若いうえにトランプ氏と違って失言をしない。ニックネームは「賢いトランプ」というぐらいで2年後の選挙戦の台風の目になりそうです。

 アメリカの大統領選挙はこれから2年かけて戦われます。まず両党の内部で候補者が絞られる長い闘いが繰り広げられ、その後、2024年11月の本選挙が行われます。まだ何が起きるのかわかりませんが、少なくともトランプ候補がその2年間、他の候補者を退けて勝ち続けていくのはそれほど簡単ではなくなってきた。それが今回の中間選挙の結果でした。