進学校化にかじを切る「関東学院中高」が目指すもの「三春台」という地名の通り、校舎からはMM21地区や関内など横浜市を一望できる見晴らしの良さ

「純和風喫茶」の良さを生かした取り組み

――就任から1年半ほどの間にいろいろ取り組まれていますね。

森田 初年度となる昨年は、自分から塾を訪ねて話をするようにしました。校長が行っていいものかとは思いましたが、横浜の事情はよく分からないので、教えてくださいと。

 ある大手塾の方から、「最近のお母さんは純和風喫茶ではなく、スタバに行きますよ」と言われたことが印象に残っています。創立から100年を経た本校は、良くも悪くも古くからの伝統を重んじてきました。

――そこをどのように時代に合わせていこうと思いましたか。

森田 本校の掲げるSTREAMもそうですが、いまリベラルアーツ系が注目されています。切り口としてみたら、一周回って昔に戻ってきたようなものです。

――前回も申し上げましたが、このように志願者が急増することは非常に珍しい。

森田 学校説明会などで本学の取り組みについて話をさせていただきますが、どれだけ良い取り組みをしていても、やはり生徒・保護者の希望進路を実現できているかどうかは学校選びの大きな指標となっていると思います。数字的な裏付けがないとどうしても信憑(しんぴょう)性に欠けてしまいます。ここ1、2年で急速に伸びるということはなさそうですが。

――それはリーマンショック後で、中学受験が不調だった時期ですから仕方ない面もあります。

森田 とりあえずライバルとして、二つの共学校を念頭に置いて頑張っています。

――川崎にある大学の付属校と県立高の併願校としても人気の学校ですね。

森田 短期間で進学実績を上げたという意味では、女子校ですが洗足学園を参考にしたいと思います。そのためには、東京からも受験生を集めるようにしていきたい。最近も品川にある大手塾の教室にご説明に参りました。

――大学付属校は、そうではない進学校と比べると、事務部門が強いという特徴があります。事務部門が弱いと、どうしても改革のことはあまり考えなくなりますから。その点、本校は安心して改革を進められますね。

進学校化にかじを切る「関東学院中高」が目指すもの校庭のアドベントツリーにはベツレヘムの星や電飾が飾り付けられ、その前では生徒による点灯式も行われる 写真提供:関東学院中学校高等学校