資源価格の高騰などを背景に、総合商社は軒並み過去最高の純利益をたたき出す好決算となった。ただ、今後も継続的に利益を出すことができるのか。また、株式市場はこの決算をどう評価しているのか。特集『会計サミット2022』の#2では、『決算書ナゾトキトレーニング』の著者・村上茂久氏が、分析する上でのポイントを解説しながら、丸紅を題材に考察する。
過去最高益となった丸紅
2年で6000億円超も利益が改善した理由とは?
先日発表した2022年3月期決算で、過去最高益を記録した丸紅。同社は、前期の21年3月期には2253億円の当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益、以下「当期利益」「当期純利益」はこれを意味する)を計上していましたが、22年3月期には前期比約9割増の4243億円となりました。
ちなみに、20年3月期決算では、1975億円の当期損失を計上しており、2年前と比較すると当期利益の増加額はなんと6218億円に上ります。
なぜ、丸紅の利益はここまで大きく改善したのでしょうか。今回は、丸紅の増益要因について決算書から読み解けるポイントの解説を行うとともに、今後も丸紅が継続的に利益を上げられるのか、会計的視点とファイナンス的視点を活用しながら考察します。
以下のグラフは、丸紅の過去5年間における当期利益と利益率(当期利益÷収益※)の推移をまとめたものです。
※収益は売上高に相当
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グラフを見ると、先述の通り20年3月期では1975億円もの損失を計上したにもかかわらず、見事なV字回復を達成していることが分かります。