開催時期、国、放映権…
盛り上がらない根本的理由は別にある
「あれ?サッカーのワールドカップって昔はもっと盛り上がってなかったっけ?」
サッカーワールドカップ・カタール大会が始まったことを受けて、SNSなどで多くのこんな声を耳にする。これは決して気のせいではなく、一部のスポーツジャーナリストや評論家も指摘している。彼らに言わせると、盛り上がらない原因はざっと以下のようなものが挙げられている。
・開催時期が悪い(この時期は世界各国でリーグ戦をやっているのでそちらに注目が集まる)
・開催国が悪い(カタールは大会招致に関して賄賂疑惑があるほか人権問題も抱えている)
・放映権の高騰が悪い(予選で日本代表のアウェー戦などが有料チャンネルでしか見られないので“にわかサッカーファン”ができにくい)
専門家のおっしゃることなので確かにそういう部分もあるのだろうが、正直、筆者はモヤモヤしてしまう。これは裏を返せば、スポーツイベントの成否は、「運営」と「メディアの露出」がすべてだと言っているに等しい。大手広告代理店とかで「スポーツビジネス」を仕掛けている人間がドヤ顔で語ってそうな身もふたもない話だ。
そこに加えてモヤモヤするのは、国民のスポーツイベントへの興味が薄れる根本的な原因が二つ抜けていることだ。「少子高齢化」と「五輪」である。
総務省統計局が今年8月に公表した令和3年社会生活基本調査によれば、2021年のサッカーの「行動者数」は533万9000人で、「行動者率」は4.7%となっている。「行動者数」というのはその1年でサッカーやフットサルという活動をした人の数で、「行動者率」は10歳以上人口に占める割合だ。
この二つを冷静に眺めてみると、「そりゃ盛り上がらないわな」と感じざるを得ない。
Jリーグが開幕した3年後の1996年のサッカー行動者数は826万9000人、日韓ワールドカップを翌年に控えた01年も651万9000人だった。この20年で120万人弱の行動者数が消えるというのは「激減」と言ってもいいだろう。
これはコロナ禍の影響もあると総務省は説明するが、それだけではこの激減ぶりは説明できない。では、何が原因か。