コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7~9月度の自動車編だ。
トヨタの国内販売台数は
13カ月ぶりに前年同月比プラスだが
自動車の主要5社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯トヨタ(トヨタ自動車)のトヨタ国内販売台数
7月度:前年同月比74.7%(25.3%減)
8月度:同74.2%(25.8%減)
9月度:同125.9%(25.9%増)
◯ホンダ(本田技研工業)の国内自動車販売台数
7月度:前年同月比96.0%(4.0%減)
8月度:同92.7%(7.3%減)
9月度:同122.2%(22.2%増)
◯日産(日産自動車)の国内販売台数
7月度:前年同月比123.2%(23.2%増)
8月度:同108.6%(8.6%増)
9月度:同100.3%(0.3%増)
◯スズキの国内販売台数
7月度:前年同月比110.0%(10.0%増)
8月度:同107.1%(7.1%増)
9月度:同145.8%(45.8%増)
◯マツダの国内販売台数
7月度:前年同月比131.4%(31.4%増)
8月度:同118.2%(18.2%増)
9月度:同153.8%(53.8%増)
苦戦が続いていたトヨタだが、22年9月の国内販売台数が13カ月ぶりに前年を上回った。日産、スズキ、マツダの3社においては22年7~9月の3カ月連続で前年の実績を上回っている。
新型コロナウイルス禍の初期から生じた半導体不足で打撃を受けてきた自動車業界に、明るい兆しが見えてきたようにも思える。だが残念ながら、実態はそれほど甘くはないようだ。
実は、コロナ前の水準と比べて、販売台数が4割以上も落ち込んだままの企業もある。また、そこまでひどくなくても、2~3割減の状態から回復していない企業も散見されるのだ。
時系列で数字を追いながら、自動車業界のコロナ禍の回復状況を見ていこう。