コロナ禍で“盛況”だった「MMT」はやはりインフレで破綻したPhoto:PIXTA

国債発行でいくらでも資金調達できる?
化けの皮がはがれたMMT

 MMT(現代貨幣理論)という考えがある。

 自国通貨で国債を発行できる国は決してデフォルトしない。だから、税などの負担なしに、国債を財源としていくらでも財政支出ができるという主張だ。

 コロナ禍ではMMTを地で行くような大規模財政支出が米国や日本などで行われてきた。

 従来の正統的な考えは、「国債を財源とすれば負担感がないので、財政支出が膨張しすぎ、インフレになる。だから、こうした財政運営を行ってはならない」とされてきた。

 MMTは、従来の経済理論に対する挑戦と言われた。

 しかし実は、新しい内容はほとんどない。これまでの経済理論の寄せ集めなのだが、従来の理論との唯一の違いは、こうした財政運営をすればインフレになることの危険を軽視したことだ。
「インフレにならないように注意すれば大丈夫」だと、いわば、最も重要な点をMMT論者ははぐらかしたわけだ。

 コロナ禍ではMMTの考えが正しいかと思われたが、最近のインフレ高進で化けの皮が剥がれたようだ。