暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの創業者、サム・バンクマンフリード氏は核戦争を阻止し、疫病のパンデミック(世界的大流行)発生を防ぐことを目指していた。そのために、築き上げてきた巨額の富をつぎ込むと表明していた。ところが、FTXは突如、経営破綻に追い込まれ、会社と顧客の資金を分けて管理していなかった実態も露呈。バンクマンフリード氏の慈善活動に対する壮大な夢は崩れ落ちた。同氏のFTX財団とその旗艦基金である「フューチャー・ファンド」は、より良い世界を目指し、富豪の潤沢な資金を元手に野心的な目標の早期実現を掲げていた。バンクマンフリード氏の富は消え、組織を運営していた哲学者のような幹部らは辞任。助成金の受領者は不足資金の手当てに追われるともに、資金の出どころを巡って危機感を強めている。FTXの担当弁護士が「相当な額」の会社資産が行方不明になっており、盗まれた可能性があると明らかにしたためだ。
FTX崩壊で散った創業者の夢:慈善で世界を救え
経営破綻で財産も社会貢献の意欲も水泡に
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