「いい会社」はどこにあるのか──? もちろん「万人にとっていい会社」など存在しない。だからこそ、本当にいい会社に出合うために必要なのは「自分なりの座標軸」である。そんな職場選びに悩む人のための決定版ガイド『「いい会社」はどこにある?』がついに発売された。20年以上にわたり「働く日本の生活者」の“生の声”を取材し、公開情報には出てこない「企業のほんとうの姿」を伝えてきた独立系ニュースサイトMyNewsJapan編集長・渡邉正裕氏の集大成とも言うべき一冊だ。同書のなかから厳選した本文を抜粋・再編集してお送りする。
東大卒業者の人気就職先
ベスト10のうち、4社がコンサル
賃金の上がり方を示す「報酬カーブ」には、PayLater型とPayNow型がある。戦後に成長を遂げた古い日本企業は、PayLater(後払い)型だ。終身雇用を大前提に置くと、仕事の成果とは無関係な「生活給」方式が合理的だからだ。
一方の外資系企業や、昭和を引きずっていない新興のIT企業、コンサル会社などは「PayNow」型である。実際の業務貢献度に応じて報酬を支払うため、20代30代で日本企業から外資に転職すると、ほぼ確実に給料が上がる。
筆者はコンサル会社に在籍していた当時、よく「PayNowの徹底」という言葉を社内で聞いた。潔く、いま払うんだ、退職金なんかない、成果主義ですぐに払うから働け、という意味である。いま計算すると、退職金がない割に給料は安かったと思う。
これが20年を経て、コンサル会社は人気業種になり、給与水準が200万円くらい上がった。ただし、求められるスキルも上がった。新卒は、もはや英語ができるのは当たり前になった。
東大卒業者の就職先ランキング上位を見ると、2021年は4社が10位以内にランクインしている。2004年3月卒業者の上位10位にコンサル会社は皆無だったから(トップ5は、トヨタ、日立、IBM、ソニー、NTTデータ)、この20年で最も変わった点は、「キャリア官僚になる人が減って、コンサル会社に就職する人が増えた」という点に尽きる。これは、PayLater→PayNowに移行したことを意味する。