「ペルー元大統領の妻」絡む泥沼トラブル、都内・目黒のホテル売買で騒動ホテルプリンセスガーデン外観(筆者撮影)

ペルー元大統領の妻が経営する都内ホテルの不動産売買を巡り、トラブルが起きていることが判明した。今後、同妻らが刑事告訴される可能性も高い。(東京経済東京本部長 井出豪彦)

ホテル運営会社の代表は
ペルー元大統領の妻

 JR目黒駅の西口を出て恵比寿方面に少し歩くと、左手に「ホテルプリンセスガーデン」という9階建ての落ち着いたたたずまいのホテルが現れる(外観写真)。

 開業は1986年で、客室数は200余り。明治の元勲の一人である「三条実美」(1837~1891年)の屋敷跡地に立ち、これにちなんで開業当時は「ホテル三條苑」と呼ばれていた。ホテルの運営会社もかつては「株式会社三條苑マネジメント」という名称だったが、98年に「株式会社ホテルプリンセスガーデン」へと社名変更している。

 その代表取締役には片岡都美氏(57)という女性が就いている。特攻隊の創設者である元海軍中将、大西瀧治郎(1891~1945年)を崇拝する硬派な一面もあるという。

 片岡氏がこのホテルの経営者になるまでのいきさつは少々複雑のようだが、さる資産家との縁が少なからず影響しているのは間違いない。その片岡氏は現在、南米ペルー共和国の元大統領アルベルト・フジモリ氏(84)の妻となっている。

 フジモリ氏は大統領3期目就任直後の2000年に選挙での不正を追及され、日本に一時亡命したような格好になった。当然ペルーの新政権からは日本政府に対し、フジモリ氏の身柄を引き渡すようたびたび要請があったという。フジモリ氏は日本でホテルプリンセスガーデンに滞在していたようだ。

 結局、その後ペルーでの政界復帰をもくろんで出国したところを逮捕・収監されるのだが、07年に海外にいながら日本の参議院選挙に出馬(落選)しており、その際の氏名は「片岡謙也」となっていた。

 そんないわくつきのホテルだが、経営はここ数年のコロナ禍もあり火の車。「実はもともと客室のメンテナンスの費用が足りず、200ある部屋のうち、半分くらいしか宿泊客を入れられないありさま」(関係者)だという。どうりで看板(下の写真)もずいぶん傷みがすすんでいる。

傷みが目立つホテルの看板(筆者撮影)傷みが目立つホテルの看板(筆者撮影)