ロシア最大の穀物商社と関連のある船舶が巧妙な手口で、盗まれたウクライナ産穀物を大量に輸出していることが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の調査で明らかになった。WSJが確認した企業の資料や法的資料によると、これら船舶はその管理者または所有を通じて、ロシアの実業家ピョートル・ホディキン氏の支配する企業と結びついている。同氏の所有するロシアの穀物輸出最大手RIFトレーディングハウスは、国際穀物市場で大きなシェアを持つ。WSJは以前、ウクライナのロシア占領地で農産物と土地の盗難が横行していると報じた。密輸の次の段階は、ロシアが2014年に併合したクリミアから、盗んだウクライナ産穀物を世界の買い手の元に届けることだ。WSJの調査では、小型船の一行がクリミアのセバストポリ港から運び出した穀物を、海上で待機している大型船に移し替える「瀬取り」が行われ、遠方の港湾に輸送するのが常とう手段となっていることが分かった。