変革型チームに共通する3つのポイント

組織にとって都合のいい「伝書鳩」になっていないか?ミドルマネージャーを組織変革のキードライバーにするためのポイントとは田中聡(たなか・さとし)
立教大学経営学部 助教
山口県周南市生まれ。東京大学大学院 学際情報学府博士課程 修了。博士(学際情報学)。株式会社パーソル総合研究所の設立に参画し、同社リサーチ室長・主任研究員・フェローなどを務め、2018年より現職。専門は人材マネジメント論。働く人とチームの学習・成長について研究している。主な著書に、『経営人材育成論』(東京大学出版会)、『チームワーキング』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「事業を創る人」の大研究』(クロスメディア・パブリッシング)など。

藤野 強い個であることが求められる一方、ひとつの目標にチームで向かっていくことも欠かせません。変革を起こせるチームをつくるうえで、ミドルが意識すべきポイントは何でしょうか。

田中 全社的な変革の起点は、やはり経営トップです。ミドルにできるのは、自分たちから変革していけるようなチームをつくることでしょう。周囲から「あのチームは常に新しいことに取り組んでいる」「会社に対してバリューを発揮しているチームだ」と思われるようなチームを、小さな単位からつくっていけたらいいのではないでしょうか。

藤野 変革型チームには何か特徴があるのでしょうか?

田中 3つの特徴があると思います。まずは「チームとは動きつづけるもの、変わりつづけるもの」だという共通認識を持っていることです。チームの生産性や関係性、パフォーマンスは、共有した時間とともに上がっていくわけではないんです。常に変わりつづけるものですから、生き物のようにモニタリングする必要があります。それを全員が理解していることが大切です。

 2点目は、「チームが今どこを目指しているのか」を立場に関係なく全員が共有していること。よく「私たち視点」「We視点」と言いますが、今どこに向かおうとしているのか、現在地はどこなのかを最初に全員で確認し合ったうえで、お互いの進捗共有をするといったグランドルールを持つチームは変革に強い傾向にあります。

 3点目は、リーダー自身が「1人でマネジメントする」という発想を手放すことです。新卒1年目のメンバーも含めて全員がリーダーなんだという視点と、チームの向かう方向に対して全員が発言する責任を持たなければなりません。