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政府がいかなる財政再建の道筋を示すのかと注目が集まった2013年度予算案が、1月29日に閣議決定された。
その1週間前の22日、政府は日本銀行と「共同声明」を発表し、デフレ脱却に向けたそれぞれの役割と責任を明確化。ここで日銀は、一足先に「インフレ率2%」と高い目標を課せられた。
「日銀が単独で責任を持つ。言い訳できない形にしてください」
安倍晋三首相は共同声明を作成する上で、政府の事務方にそう強く念を押した。これに対し日銀側は政府の成長戦略をインフレ目標達成の“前提条件”として位置付けることにこだわり、「一時は交渉決裂となりかけた」(政府関係者)が、日銀の主張は叶わなかった。
一方、政府の役割と責任は、成長力強化の具体策と共に、「持続可能な財政構造を確立する取り組みを着実に推進する」と明記。そのため、まずは新年度予算の中身が問われることになるわけだ。
ふたを開けてみると、公共事業費が前年度比15.6%増の5兆2853億円に膨らむなど、需要先食いの景気刺激を重視した結果、一般会計総額は同2.5%増の92兆6115億円、当初予算としては過去最大だ。15年度までに基礎的財政収支の赤字額(対GDP比)を10年度比で半減させる目標は民主党政権から踏襲したが、肝心の工程表は「今は示せない」(政府関係者)と心もとない。
14年4月に消費税率を引き上げられるか否かで工程表も変わり得るものの、そもそも物価安定は財政節度が守られて初めて実現可能だ。共同声明で日銀にインフレ目標達成の責任を負わせた以上、政府自身が債務削減努力を早急になすべきである。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)