異動や転職、独立、副業。ひとたび社会に出ると、ずっと同じ環境だけで働き続けることは珍しく、多くのビジネスパーソンが何かしらの「環境の変化」を経験していることでしょう。働き方の多様性や、テレワークの推進といった昨今の変化は、それらをより助長させています。そんな環境の変化に適応できる人とできない人の違いは何なのでしょうか?適応力がズバ抜けて高い人には3つの共通する特徴があります。(ビジネスコンサルタント・作家、株式会社HIROWA代表取締役、京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授 和田裕美)
あえて居心地が悪い場所を好んだ方が良い理由
人間は元来、変化を好まない性質があり、コンフォートゾーン(快適な空間)の内側に入るとそこから抜け出すにはとても大きなエネルギーを必要とします。
例えば、朝起きてテレビを見ながら朝食を食べる空間。毎日平穏としたメリハリのない職場。自分を叱る人間がいない環境やコミュニティー。
慣れてしまった環境では、無理をしなくてもそれなりにパフォーマンスが上がったような気になり、人はそこを“快適な空間”と感じるようになります。ほどほどの努力で、まあまあの成果が出れば悪い気はしないでしょう。
長く所属している会社や部署で、ある程度の仕事を器用にこなし、周りを見渡せば後輩や部下に囲まれ、特別大きな栄誉はもらえなくても、その代わりに誰かから叱責をくらうこともない。そんな“快適な空間”は、実は生産性を下げる原因であり、すぐにでも抜け出すべきだといわれています。
快適な場所なのに抜け出すの?と思われるかもしれませんが、「快適」とは今の自分にとって適した環境であり、暑くも寒くもない適温の中にいるようなものです。
その場所が、世界のほんの0.1%でしかなかったとしたらどうでしょう?残りの99.9%の世界を知らずに、限られた選択肢や可能性の中でしか生きられません。
知らぬ間に裸の王様になっているかもしれません。理想の自分に出会える可能性は、居心地が悪いと感じる場所にこそあるものです。新しいことに慣れるまではストレスがかかりますが、そのストレスが程良く感じられるくらいの環境が良いでしょう。
環境の変化は、まさにコンフォートゾーンから抜け出すチャンスであり、形骸化された習慣から脱却する機会でもあるのです。
環境の変化に対応するのはそう簡単ではありせん。それでも、常に変化に適応し、その都度成果を上げる人がいます。そのような人たちには3つの共通点があります。詳しく解説していきましょう。