マイナポイントの書類写真はイメージです Photo:PIXTA

2022年10月11日、マイナンバーカードに健康保険証を一体化させた「マイナ保険証」の利用に切り替えると政府が発表し、国民や町の医療機関をざわつかせた。事実上、マイナンバーカードの義務化となるかもしれない。気になるのは、やはりマイナンバーの税務への影響だ。(税理士、岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

2025年までにマイナンバー制度は
具体的に何が改正されるか

 政府は、2024年秋には現行の健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」に切り替える方針だ。実現化すれば、事実上、マイナンバーカードの義務化になるのではと話題になっている。

 実際のところ、この1年間で実現化するのだろうか。総務省『マイナンバーカード交付状況について』によると、人口に対する交付枚数率は全国で約63.7%(22年12月18日現在)。国民の約6割にしか普及していないことになる。

 一方、「マイナ保険証」は21年10月に本格運用が開始されたが、22年5月15日時点で利用可能な医療機関や薬局などは全体の19.0%だった。しかし、22年9月18日時点のデジタル庁『医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の導入状況』によれば、運用開始施設の割合は29.1%、準備完了施設34.7%、顔認証付きカードリーダー申し込み75.4%とのことだ。

 この数字を見る限りでは、政府の「マイナ保険証」実用化に対する意気込みが伺える。では、今後、マイナンバーの普及や実用化に向けて、どのような施策の実施が計画されているのだろう。

 デジタル庁『マイナンバー制度の利活用について(22年3月17日)』によれば、「国民の理解が得られたものについて、令和5年(23年)にマイナンバー法を含む必要な法案提出など法令の整備を実施し、令和6年(24年)以降にシステム等の整備を行い、令和7年度(25年度)までに新たな制度の施行を目指す」としている。

 21年2月時点でのデジタル庁『マイナンバー制度導入後のロードマップ(案)』では、以下のような事項が挙げられている。23年中にも関連法を改正し、25年度までに新制度の施行を目指したい考えだ。

・22年度:カードの機能(電子証明書)のスマートフォン搭載の実現
・23年度:戸籍関係情報の情報連携開始
・24年度:運転免許証との一体化/海外継続利用開始

 なお、22年11月2日の経済財政諮問会議で、岸田首相がマイナンバー制度の利活用に関する新たなロードマップ策定を指示したそうだ。有識者などからなるタスクフォースを設置し、具体的な論点、工程表の年限、その策定時期などの議論が開始されるので、近々、新たな具体策が明示されるであろう。

 ところで、行政手続きの簡略化や効率化など、利便性ばかりが強調されているマイナンバー(個人番号)だが、国側がどう活用するのかが国民にとっては気になるところだ。特に相続税専門の税理士としては、相続税務調査にどう関わるのかが大いに気になる。