1975年創業のうどん店が今秋、「ネットの口コミ」をめぐるトラブルに見舞われた。味付けについて事実と異なるレビューが「食べログ」に書き込まれ、店主は運営側に相談。結果的にその投稿は削除された。すると、口コミの主が「うどん店は運営側を裏で動かし、点数を操作している」という“濡れ衣”を着せる投稿を寄せたのだ。消費者の選択を左右する力を持つが、いまだにトラブルの火種になる「匿名口コミ」。消費者と店舗は、こうしたサービスとどう付き合っていくべきなのか。(ジャーナリスト 瀬戸久美子)
消費者の参考になり、店舗の集客にも便利
それでもトラブルを呼ぶ「匿名口コミ」
飲食店や宿泊施設、理髪店などのサービスから物販、転職先の企業まで。何かを選ぶとき、インターネット上に書き込まれた口コミ情報を参考にするという人は多いだろう。
一方、「匿名の口コミは信用できない」「ニセの情報も混じっている」といった声もよく耳にする。ちまたにあふれている口コミや評価サイトを、私たちはどう活用すべきなのだろうか。
今回は、香川県にある讃岐うどん店「ふる里うどん」をめぐって起きたある騒動から、口コミとの付き合い方を考えてみたい。
ふる里うどんは、香川県高松市にある1975年創業の老舗うどん店だ。「食べログ」の評価は3.89(2022年11月末時点)で、口コミの数は120件を超える。地元の常連客も多く集う同店は、「食べログ うどん WEST 百名店 2022」にも選出されている。
そんなふる里うどんは今秋、口コミを巡るトラブルに巻き込まれた。大まかな経緯はこうだ。
とある客が、ふる里うどんの調理法について、事実と異なる口コミを食べログに投稿した。それに気づいた店主は運営に相談し、結果的にその投稿は削除された。
すると、口コミの投稿者は即座に反応。「ふる里うどんが食べログにお金を払って、点数を操作している」といった旨のコメントを投稿し、店主は対応に追われる羽目になったのだ。
一体、何があったのか。詳しい状況を振り返っていこう。