オバマケアと日本の健康保険はまったくの別物

 アメリカではオバマ政権時代に「オバマケア」が導入されたことで、国民皆保険制度になったことはみなさんご存じのとおりです。

 しかし、この国民皆保険制度は、日本のそれとはまったく違います。まず、日本の国民健康保険は公的機関が行っていますが、アメリカでは多数の民間の保険会社が行っています。その中から、個人が選びます。

 日本の国民健康保険は最先端医療以外のほとんどの治療について使うことができます。保険料も上限があるとはいえ、収入によって変わりますし、低所得高齢者が払う医療費の自己負担額は、若者が払う自己負担額とは異なります。

 一方、アメリカでは入る保険によって保障内容が違ってきます。いい保険に入りたければ、高い保険料を払う。その保険料は年収や年齢に左右されません。まさに、火災保険と厳密な意味で同じ保険です。

 日本の国民皆保険制度は、保険というより所得の再分配機能があるのです。だから、その人の所得によって保険料が違ってきます。一方、アメリカの保険の保障内容は、純粋に保険料によって決まります。つまり、同じ保障内容を受けたければ、高所得者も低所得者も同じ金額を払うということです。日本はなんでも「格差是正」が目的、と私が言う理由はこの辺にもあります。

 ちなみにアメリカでは救急車を呼ぶのも自費であり、しかも1回につき日本円で30万円とか50万円といった料金がかかるのだそうです。一方、警官や消防車を呼ぶのは無料です。そう言えば、私がアパートを借りていた地域では、ただのパトカーや消防車はよく見かけましたが、救急車にはお目にかかりませんでした。現金なものです(笑)。