セブン&アイ・ホールディングスが子会社のそごう・西武を米投資ファンドに売却。経営はヨドバシの手に委ねられることになった。家電量販店のヨドバシは、百貨店のそごう・西武をいかに変えるか?大胆に予想する。(講演・研修セミナー講師、マーケティング・コンサルタント 新山勝利)
ヨドバシ経営でそごう・西武は
「駅前の大規模ショッピング・モール」に?
「不思議な不思議な池袋、東が西武で西東武」で始まる替え歌は、ご存じビックカメラのテーマソングで、テレビCMで流れていた。
その歌詞にある西武に家電量販店ライバルのヨドバシカメラ(以下、ヨドバシ)が入るとは、誰もが予想だにしなかったはずだ。
2022年11月11日、セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)傘下にあった百貨店、そごう・西武の売却先が、アメリカ投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(以下、フォートレス)に決定した。
セブン&アイは、そごう・西武の企業価値を2500億円と算定し、負債額などを調整してフォートレスへの最終的な売却額を決めるとしている。フォートレスはヨドバシと連携し、そごう・西武の運営にあたる。
そごう・西武の業績を確認すると、2022年2月期の最終損益は88億円の赤字だ。3期連続での最終赤字となっており、苦戦が続いている。売却の判断もやむなしといえるだろう。
今回のこの売却については「西武デパートがなくなり、上から下までヨドバシが入る」など、外野がいろんなことを言っている。最近でも、東京都豊島区の高野之夫区長が西武池袋本店にヨドバシが出店することに反対し、緊急会見を開いた。そうしたこともあり、世間の注目も集まっているように見える。
筆者は売り場づくりのリテールサポート(メーカーによる小売業者への経営支援)で、新商品発表会での講演、また各店舗の朝礼の勉強会などに呼ばれることがよくある。
とくにヨドバシでは、毎日のようにあちこちの店舗・売り場で勉強会が開かれ、メーカーが新商品の機能や展示・販売方法の説明をおこなっている。その現場にも講師として参加してきた。
今回は、長年にわたり業界を側面支援した経験から、ヨドバシによるそごう・西武の新たな店づくりの大胆な未来予想をしてみたい。