一色紗英さん1996年の「ANA'S パラダイス沖縄」キャンペーンのパンフレット。タレントの一色紗英さんがキャンペーンモデル(筆者私物)

2022年は、沖縄が本土復帰50周年を迎えた年だった。沖縄の観光産業の成長を後押ししてきたのが、航空会社のキャンペーンだ。そこで全日本空輸(ANA)の沖縄キャンペーンを1972年から振り返ってまとめてみた。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

沖縄好調でボーイング777を集中的に投入

 全日本空輸(ANA)の沖縄路線が好調だ。同社の年末年始(2022年12月28日~23年1月5日)の予約状況(12月21日時点)は、国内線全体の提供座席数が157万2409席(19年比91.5%)、予約数が109万5885人(同80.9%)。そのうち、沖縄方面の提供座席数は28万1575席(同98.6%)、予約数は21万3896人(同84.3%)と、コロナ禍からの回復度合いが国内線全体を上回っている。

 ANAによると、春休み時期(3月)も他路線に比較して沖縄の好調が際立っているという。新型コロナウイルス禍の需要低迷を脱し、政府の全国旅行支援割引という追い風もあることから、保有する最大機材を集中的に沖縄路線に配便(13往復のうち8往復が大型機のボーイング777、405~514席)している。

 販売面に関しては、「ANA創立70周年記念7000円キャンペーン」が、とりわけ沖縄が得になる企画だったため大好評だった(羽田~石垣、羽田~宮古は91%割引と破格の値段)。今後もスーパーバリュー運賃(早期購入割引)のタイムセールや、トクたびマイルキャンペーン(通常よりも少ないマイル数で搭乗可能な制度)などを実施していく予定だ。

 22年は、沖縄が本土復帰50周年を迎えた年だった。沖縄観光に詳しい下地芳郎・沖縄観光コンベンションビューロー会長によると、「米軍基地経済」が中心だった戦後の沖縄経済において、砂糖とパイナップルに並ぶ三大産業の一つに成長したのが観光産業だ。それを後押ししたのが、航空会社のキャンペーンだった。1970年代から80年代にかけて、ANAや日本航空(JAL)が沖縄キャンペーンを大々的に打ったことで、テレビCMを見た人々がこぞって沖縄に飛んだ。

 そこで今回、ANAの沖縄キャンペーンを72年から振り返ってまとめてみた。見る人によっては、「懐かしいなあ」「こんな有名タレントが宣伝をしていたのか」などとノスタルジア(郷愁)や驚きがあるかもしれない。