JR東日本はインターネット銀行を設立し、2024年春からサービスを始める。ネット銀行最大手の楽天銀行と新たに提携。金融サービスの利用に応じて独自ポイントを付与するなどして顧客の囲い込みをはかる。だが、「スイカ(Suica)経済圏」の拡大にはある弱点の克服が求められる。(ダイヤモンド編集部 梅野 悠)
JR東日本が楽天銀行と提携
「JRE POINT」会員を拡大
JR東日本が2024年春からサービスを始めるインターネット銀行「JRE BANK」は、ネット銀行最大手の楽天銀行のインフラを活用し、JR東のグループ会社が銀行代理業務を担う。
スマートフォンの専用アプリやウェブサイトで銀行口座を開設した利用者に、普通預金や住宅ローンといった金融サービスを提供する。
金融サービスの利用に応じて特典としてJR東の独自ポイント「JRE POINT」を付与する。JRE BANKは楽天銀行の仕組みを活用するものの、楽天ポイントをためることはできず、あくまでJRE POINTの利用拡大につなげることができる。
JRE POINTは、スイカでJR東エリアの電車や駅ビル加盟店などを利用した場合に貯めることができる。ためたポイントは1ポイント1円として、加盟店やスイカのチャージに利用できる。
「電車に乗るだけでポイントがたまる」という手軽さが、JRE POINTの最大の強みだ。JRE POINTの会員数は、22年11月末時点で1332万人に上る。この会員基盤こそが「スイカ経済圏」の柱でもある。
では、なぜJR東はこのタイミングで楽天と“タッグ”を組んでネット銀行を設立するのか。実は、スイカ経済圏構想拡大を狙うJR東には大きな弱点がある。次ページでは、その弱点を明かしていく。