創業9年目で売上300億円と、急成長を遂げている家電メーカー、アンカー・ジャパン。そのトップに立つのは、27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳でアンカー・ジャパンCEOに就任と、自身も猛スピードで変化し続けてきた、猿渡歩(えんど・あゆむ)氏だ。「大企業に入れば一生安泰」という常識が崩れた現代、個人の市場価値を高めるためには「1位にチャレンジする思考法」が必要だと猿渡氏は語る。そんな彼が牽引してきたアンカー・ジャパンの急成長の秘密が詰まった白熱の処女作『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』が発売たちまち話題となっている。
そこで本書の発売を記念し、ビジネスパーソン「あるある」全20の悩みを猿渡氏にぶつける特別企画がスタートした。第8回目は、「トップレベルで仕事が速い人の特徴」について、教えてもらった。(構成・川代紗生)
「デキる人は返信が速い」は本当か?
──猿渡さんは、創業当初のアンカー・ジャパンに転職し、2021年に代表取締役CEOに就任と、会社の成長とともに、ご自身もすごいスピードで成長されています。
そんな猿渡さんにお聞きしたいのですが、「トップレベルで仕事が速い人」の特徴は何だと思いますか? たとえば、よく「仕事がデキる人は総じてレスポンスが速い」と言われたりもしますが……。
猿渡歩(以下、猿渡):レスポンスの速さも大事だと思いますが、私は優先度によって分けるようにしています。
たとえば、
・急ぎの案件・数分で返せる案件は、その場で返す
・返信に時間がかかりそうな案件は、Slackにブックマークしておき、1日数回のメールチェックをするタイミングや、タクシーでの移動時間に見直して返す
など、臨機応変に対応しています。
──なるほど。すべてのメッセージに即レスしているわけではないのですね。
「トップレベルで仕事が速い人」の思考法
──スピーディ、かつ正確に仕事をこなすために、最も大事なことは何だと思いますか?
猿渡:「仮説思考」が習慣化されているかどうか、だと思います。
私がいつも意識しているのは、「仮説が先でデータが後」。
この言葉を頭の隅に置いておくだけでも、仕事は一気に速くなると思います。
『1位思考』でも深く掘り下げましたが、仮説を持つことで、大幅に時間を短縮できるようになるのです。
──なぜ、「仮説思考」によって仕事のスピードが変わるのでしょうか。
その関係性について、教えていただけますか?
猿渡:どんな業種・業界であれ、ビジネスでは未来を予測することが大事です。
たとえば、新しいプロジェクトに挑戦するとき、「このプロジェクトを成功させるには、〇〇をやればいいんじゃないか。なぜなら××だから」と、論理的に考える必要があります。
こうした未来予測をするとき、多くの人は「情報が多ければ多いほど、いい判断ができる」と考えがちです。
でも、実はこの考え方こそが、仕事のスピードを落としてしまう原因になるのです。